自然災害と自立分散型エネルギー

安曇川流域

台風21号、すさまじい勢いでした。あちこちで大きな被害が出ているようです。大きな被害ではありませんが改修中のショールームも外壁や窓ガラスが破損しました。当事業所のあるエリアは丸1日以上電気が復旧しませんでした。そして今日の早朝には北海道で非常に大きな地震が発生したようです。北海道の全戸が停電して復旧のめども立っていないようです。災害による被害が少ないことを願います。

停電になれば照明がつかないのはもちろん、冷蔵庫、洗濯機も機能しませんし、ガス給湯器も電気を使っているのでお湯が出ず、お風呂にも入れません。オール電化の家庭でなくとも生活のほとんどの部分で電気を利用しています。場合によっては水が出ないこともあるでしょう。こうして災害を経験すると普段の気にも留めないような便利な生活は、とても危ういものの上に成り立っているのだと気付きます。当たり前だと思っていることが、あっけなく崩れ去るのです。

最近では震度6を超えるような地震が頻発するし、台風の勢力も強大化しているように感じます。集中豪雨のような尋常でない雨の降り方も珍しくなくなりました。人間が便利な生活を求めるあまり、自然を無視して地球環境に負荷をかけすぎることでなにか異変が起こっているように感じます。

自然環境への影響という視点で薪ストーブを見てみましょう。薪ストーブは燃料として薪を使うことで、化石燃料に比べて二酸化炭素排出量は非常に少なく、二酸化硫黄や窒素化合物の排出量も少なく、環境負荷の小さいクリーンな暖房機器といえます。またガスや電気などの集中型エネルギーとは違い、自立分散型のエネルギーであることも薪ストーブの大きな特徴です。薪ストーブは災害時にライフラインが絶たれた時にも利用できます。

そして薪ストーブは単なる暖房機器として環境面にメリットがあるだけではなく、その日常生活において様々な良い面があると思います。薪ストーブを使うことでエネルギーに対する意識が変わります。自然環境や自分の住む地域環境にも敏感になり、今までと違った視点でそれらを観察するようになります。単純にいつも薪を探し回っている状態なのかもしれませんが(笑)。ライフスタイルに何かしらの変化が起こります。今まで無意識(無関心)だったことを意識的にこなすことで自分の生活にフォーカスする機会が増えます。自分のライフスタイルについて考えるのです。もちろん薪スト−ブを使っていなくても、高い意識を持って生活している人はたくさんいますが、薪ストーブを使うことでより意識的な状態にさせてくれます。地域にある木質を利用したバイオマス、小河川や農業用水などを活用した小規模水力などの再生可能エネルギーにも関心を持つようになるかもしれません。そしてエネルギーだけではなく、さらに深く自分のライフスタイルを見つめることで、例えば、生きることの基本である食、農業、食糧の自給などにも目を向けさせてくれます。こういった意識の変化は薪ストーブを使うことで得られる最も大きな恩恵の一つだと思います。薪ストーブという一つのツールが、シンプルに生活を楽しむということを思い出させてくれるのかもしれません。

こうしたひとりひとりの意識がより良い環境をつくっていくんじゃないかと思います。皆さん、より良い環境で暮らしたいって思いますよね?自分の子や孫に、より良い地球環境を残していきたいですよね?そのために必要なのはほんの少しのアクションなのかもしれませんね。自分では大したことはできないかもしれませんが、何か良い方向に向けて少しでも役に立てたらいいなと考えています。