前回の記事で「北欧デザインが日本の美術工芸や建築から多大な影響を受けている」ということに少し触れました。先日デンマークへ行った際にDesignmuseum Danmark(デザインミュージアム・デンマーク )に行ってきたので少し紹介します。
以前はデンマーク工芸博物館という名前でしたが、現在はデザインミュージアム・デンマークとなっており、学生は無料で入館できます。すてきなカフェや中庭もあり、ゆったりと過ごせます。コペンハーゲンの人気観光スポットのひとつアマリエンボー宮殿から歩いてすぐです。
ハンス・J・ウェグナー (Hans Jørgensen Wegner)、フィン・ユール(Finn Juhl)、アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)といった巨匠たちの名作家具やポール・ヘニングセン(Poul Henningsen)、ヴェルナー・パントン(Verner Panton)といったデザイナーの作品が展示されています。
2015年からデザインミュージアム・デンマークで開催され注目を集める「Learning from Japan」展。日本とデンマークの結びつきの歴史をたどる企画展です。前回デンマークに来た時に行きそびれ残念な思いをしましたが、予想以上に人気だったらしく、開催期間は延長され、幸運にも2018年現在も開催中でした!異例の長期開催からも、この企画展が多くの人に支持され人気を博していることがうかがえます。
入ってすぐ畳敷きのスペースに柳宗理の名作バタフライ・スツールが展示されていました。そこからインスピレーションを得てデンマークで展開された作品が併置されています。比較しながら見られるのでとてもわかりやすい。
建築、陶芸、グラフィック、家具など、展示ごとに日本のオリジナルと、それにインスピレーションを受けたであろうデンマークデザインが併置されるかたちで展示されています。
駅弁の箱みたいなものも展示されていたり。日本人にしてみれば特に気にとめないデザインだと思われますが、デンマーク人にはクールに映るのでしょうか?とにかく楽しく展示を見進められます。
デンマークデザインは建築、インテリア、ファッション、照明、家具など様々な分野で日本から影響をを受け、技術や意匠だけでなく、その奥にある思想まで学び取ろうとしていたことが感じられます。
この企画展を通してデンマークのアーティストやデザイナーが受けたインスピレーションの源泉を知る機会を得ることができました。デンマークのデザインが日本の伝統工芸に大きな影響を受けていたということは意外と知られていないのではないでしょうか?現在のデンマークデザインの根底には日本の影響が色濃くあるのです。世界中で評価が高いデンマークデザインの源流が日本にあったということにあらためて驚かされます。