取扱メーカーを訪問し、薪ストーブや煙突の研修を受けるためにデンマークに出張しました。2週間の滞在の様子を数回に分けてレポートします。
滞在中は、デンマーク在住の小泉のコロニハーベで大半を過ごしました。コロニハーベ(コロニヘーブ)とはデンマークの人々が休日を楽しむ小屋つきの庭のことで、都会で暮らす人々が週末にゆっくりと過ごすための郊外のスペース。花や野菜や果樹を育てたり、友達や家族でバーベキューを楽しんだりと、使い方はその人次第。コロニハーベについては別の機会に詳しく書きたいと思います。
関西国際空港を出発し、ヘルシンキを経由して約15時間。飛行機がコペンハーゲン空港に近づくと、たくさんの風力発電が目に入ってきます。デンマークは2050年までに化石燃料の使用をやめて100%再生可能エネルギーへシフトすることを目指しています。すでに電力システムの40%以上は再生可能エネルギーで賄われており、2020年までにその割合を50%まで引き上げることを目標としています。デンマーク国中あちこちで風力発電が稼働しているのを見かけます。
これらの目標を達成するのは容易でありません。しかしデンマークという国ならできるだろう、と思えてしまいます。わずか2週間の滞在でしたが、そう思えるようになりました。
再生可能エネルギー先進国のデンマークでも、1973年のオイルショックの後に原発計画が持ち上がったことがありました。そこで3年間、政府も国民も原子力発電のことを勉強しようという期間が設けられました。デンマーク政府も原発のメリットとデメリットをわかり易く説明しました。その結果、政府と国民の間で話し合いが進み、原子力発電所の事故が起き場合、その影響が大きすぎるということで、1985年には原子力発電に依存しないエネルギー政策を採択するに至ったのです。
自分の国のことは自分たちで決めるため、国民は積極的に政治に参加します。この国の選挙の投票率は9割ぐらいが当たり前だそうです。民主主義がしっかり根付いてるのでしょう、しっかりと民意が反映されています。デンマークは政府と国民が同じ方向を向いているように感じました。
風力発電だけでなくバイオマスを使った熱利用も盛んなデンマークですが、エネルギー政策として特筆すべきものに地域暖房があります。日本のように各家庭や企業がそれぞれ独立した暖房・冷房システムを持つのではなく、配管を通じて地域内の住宅や企業に熱水を供給して暖房を行うという方法です。熱の供給は発電所で電気を作る際の熱を利用するコージェネレーションが中心となっています。電気を火力発電所で作る時にでる熱が無駄なく地域暖房として使われています。実にコペンハーゲンの98%以上のエリアにまで浸透しているというから驚きです。
週末、コロニハーベの庭木の手入れで出た芝や剪定枝を持ってリサイクルセンターに向かいました。各地域ごとにこういったリサクルセンターが必ずあります。
みんなトレーラーに様々なものを積んでやってきます。デンマークではこういったトレーラーをよく見かけます。街で見る車にも牽引のフックがついているものが多いです。日本で例えるなら軽トラのような使い方でしょうか。
木の枝や草などはここに集められます。木質チップなどの燃料や堆肥などに利用されると思われます。
塗料などはここへ。
コンクリートやセメント、レンガなど細かく分類されています。
各種類ごとに大きなコンテナが用意されていて、それぞれ適切な場所に各人が不要物を入れていきます。
防腐処理した木材は別に分類されていて、大きなローラーでグリグリ潰されていました。何に利用されるのでしょうか。
まだ使えそうなものが置かれている棚もありました。これらの不用品も有効利用されるのでしょう。
日本ではゴミの持ち込みは有料なのが当たり前ですが、ここでは全て無料で持ち込むことができます。各人が責任をもって処分するのです。そしてあらゆるものがリサイクル・リユースされて有効に使われていきます。日本でもぜひ取り入れたい仕組みです。
スーパーで見かけたこの機械も面白い。
空き缶やペットボトルを回収するマシンです。1缶あたり1DKK(約17円)が返ってきます。
缶もペットボトルの適当に放り込んでいけばマシンが勝手に判断してくれます。大きなペットボトルだと、たしか3DKK返ってきました。全部入れ終わったらバウチャーが出てくるので、それをレジに持っていって現金に交換してもらいます。結構まとまった金額になるのでまたビールを買います。(笑)
余談ですが、物価の高いデンマークではビールが安い。安いものだと3DKKくらいで買えます。そして旨い。気候の影響もあるのか、ビールがうまくて安いので日本にいるときよりもよくビールを飲みます。Carlsberg(カールスバーグ)のピルスナーなんかも6DKKくらいなので日本よりも相当安いですね。
このマシンはどこのスーパーでも見かけました。このマシンのお陰か、街中でゴミが落ちているのを見ることがありませんでした。お金が返ってくるから誰もポイ捨てしないし、空き缶が落ちていても拾って換金しますよね。日本でもぜひ採用して欲しい。
シンプルで合理的、わかりやすいシステム。デンマークではこうした仕組みが当たり前に機能していました。比較すると日本のシステムは複雑でわかりにくいことが多いと感じます。やはりこの国から見習うべきものは多い。